国税専門官を目指している人の中には、
「国税専門官ってどれくらい難しい?」
「倍率は高い?」
「筆記試験は何割取れば合格できる?」
と気になっている人も多いのではないでしょうか。
2026年度の国税専門官採用試験では、国税専門A・Bを合わせて6,679人が第1次試験を受験し、3,385人が最終合格しました。
実際に第1次試験を受験した人数を基準にすると、最終合格までの倍率は2.0倍です。
数字だけを見ると、それほど高い倍率には見えないかもしれません。
しかし、国税専門官は基礎能力試験だけでなく、専門試験(多肢選択式)、専門試験(記述式)、人物試験などがあり、幅広い対策が必要です。
さらに、合否は単純な正答数の合計ではなく、人事院が算出する「標準点」を使って判定されます。
そのため、「倍率が2倍だから簡単」「筆記試験で○割取れば必ず合格」と単純に判断することはできません。
この記事では、人事院が公表している2026年度の最新データをもとに、国税専門官の難易度、倍率、合格ライン、ボーダー、足切りについてわかりやすく解説します。
※国税専門官の仕事内容や受験資格、試験全体の流れについては「国税専門官になるには?受験資格・試験内容・倍率・年収・仕事内容を解説【2026年最新】」で詳しく解説しています。
国税専門官の難易度は高い?
国税専門官は、倍率だけを見れば極端に競争率の高い試験ではありません。
2026年度は、国税専門A・Bを合わせた実受験者ベースの倍率が2.0倍でした。
一方で、倍率だけから試験そのものの難易度を判断することはできません。
国税専門A(法文系)では、
- 基礎能力試験
- 専門試験(多肢選択式)
- 専門試験(記述式)
- 人物試験(個別面接)
- 身体検査
が行われます。
専門試験では法律・経済・会計など幅広い分野が出題され、専門記述への対策も必要です。
さらに、2025年度から人物試験の配点比率が30%に引き上げられています。
そのため国税専門官は、倍率だけを見て「簡単」と判断するのではなく、筆記・記述・面接まで総合的な対策が必要な試験と考えた方がいいでしょう。
2026年度の国税専門官の倍率
人事院が公表している2026年度の試験実施状況を見てみましょう。
国税専門A(法文系)
- 申込者数:9,369人
- 第1次試験受験者数:6,494人
- 第1次試験合格者数:5,652人
- 第2次試験受験者数:4,664人
- 最終合格者数:3,291人
- 申込者数を基準とした倍率:2.8倍
- 第1次試験受験者数を基準とした倍率:2.0倍
国税専門B(理工・デジタル系)
- 申込者数:324人
- 第1次試験受験者数:185人
- 第1次試験合格者数:159人
- 第2次試験受験者数:126人
- 最終合格者数:94人
- 申込者数を基準とした倍率:3.4倍
- 第1次試験受験者数を基準とした倍率:2.0倍
A・B合計
- 申込者数:9,693人
- 第1次試験受験者数:6,679人
- 第1次試験合格者数:5,811人
- 第2次試験受験者数:4,790人
- 最終合格者数:3,385人
- 申込者数を基準とした倍率:2.9倍
- 第1次試験受験者数を基準とした倍率:2.0倍
ここで注意したいのが、「倍率」の計算方法によって数字が変わることです。
2026年度全体では、申込者9,693人を最終合格者3,385人で割ると2.9倍です。
一方、実際に第1次試験を受験した6,679人を最終合格者3,385人で割ると2.0倍になります。
そのため、「国税専門官の倍率は何倍?」という情報を見るときは、申込者数を基準にしているのか、実際の受験者数を基準にしているのかまで確認することが大切です。
国税専門官の倍率は下がっている?
近年の実受験者数を基準にした倍率を比較すると、次のようになっています。
2024年度
第1次試験受験者数:8,555人
最終合格者数:3,358人
倍率:2.5倍
2025年度
第1次試験受験者数:7,280人
最終合格者数:3,394人
倍率:2.1倍
2026年度
第1次試験受験者数:6,679人
最終合格者数:3,385人
倍率:2.0倍
この3年間では、実受験者ベースの倍率は2.5倍→2.1倍→2.0倍と低下しています。
2024年度から2026年度にかけて第1次試験受験者数は8,555人から6,679人へ減少した一方、最終合格者数は3,300人台で推移しています。
ただし、ここから「試験そのものが簡単になった」とまでは言えません。
倍率は受験者数と合格者数の関係を示す数字であり、試験問題そのものの難しさを直接示すものではないからです。
「競争倍率が低下していること」と「試験問題の難易度」は分けて考える必要があります。
2026年度は第1次試験の合格率が高かった
2026年度の国税専門Aでは、第1次試験を6,494人が受験し、5,652人が合格しました。
単純計算すると、第1次試験受験者の約87%が第1次試験を通過したことになります。
国税専門Bでも185人が受験し、159人が第1次試験に合格しており、こちらも約86%です。
数字だけを見ると、
「それなら筆記試験は簡単なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、第1次試験では基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)の双方で基準点以上を取る必要があります。
さらに、第1次試験で実施される専門試験(記述式)は、第1次試験合格者を対象に評定され、最終合格者の決定に使われます。
第1次試験を通過しただけで最終合格が決まるわけではありません。
したがって、2026年度の第1次試験通過率が高かったことだけを理由に、国税専門官全体を「簡単な試験」と判断するのは適切ではありません。
国税専門官の合格ライン・ボーダーは何割?
国税専門官の難易度を調べると、
「ボーダーは何割?」
「5割あれば受かる?」
といった情報を目にすることがあります。
しかし、人事院がすべての年度に共通する形で、
「正答率○%なら合格」
という固定されたボーダーを設定しているわけではありません。
人事院は、筆記試験の正答数などの「素点」をそのまま合計して合否を決めるのではなく、試験種目ごとの平均点や標準偏差などを使って算出する**「標準点」**を使用しています。
標準点は、受験者全体の成績分布の中で、その受験者の成績がどのあたりに位置するのかを相対的に示すものです。
そのため、同じ正答数であっても、その年度の平均点や得点分布によって標準点は変わります。
ネット上で見かける「ボーダー○割」という数字は参考になる場合もありますが、すべての年度に共通する公式な合格ラインではないことを理解しておきましょう。
2026年度の公式合格点
人事院が公表している2026年度の合格点は次のとおりです。
国税専門A
- 第1次試験合格点:131点
- 最終合格点:444点
国税専門B
- 第1次試験合格点:157点
- 最終合格点:390点
ここで特に注意したいのが、この点数は問題の正答数ではないということです。
国税専門官の合否判定には、人事院が各試験種目の素点、平均点、標準偏差、配点比率などを用いて算出した標準点が使われます。
したがって、
「Aは131問正解すれば一次合格」
「444点分正解すれば最終合格」
という意味ではありません。
2026年度の基礎能力試験は30題、専門試験(多肢選択式)は40題を解答する試験です。
公式の合格点と、自己採点で使う「何問正解したか」という素点は分けて考えましょう。
国税専門官には足切りがある
国税専門官では、各試験種目について一定の基準を満たす必要があります。
2026年度に人事院が公表している筆記試験の基準点は次のとおりです。
基礎能力試験
30点満点中9点
専門試験(多肢選択式)
40点満点中12点
専門試験(記述式)
100点満点中30点
基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)は、どちらも基準点以上であることが第1次試験合格の前提です。
また、専門試験(記述式)が基準点に達していない場合も、最終合格することはできません。
つまり、ある試験種目で高い成績を取っていても、別の試験種目で基準点を下回れば不合格となります。
ただし、ここで注意したいのは、
「基準点=合格点」ではない
ということです。
基準点は、それを下回ると不合格になる最低基準です。
基準点を超えただけで自動的に合格できるわけではありません。
面接にも基準がある
国税専門官の人物試験は、A~Eの5段階で評価されます。
2026年度の標準点は、
- A評価:214点
- B評価:168点
- C評価:130点
となっています。
D・E評価には標準点が与えられず、人物試験でDまたはE評価となった場合は、他の試験種目の成績にかかわらず不合格です。
つまり、最終合格するためには人物試験で少なくともC評価以上を得る必要があります。
さらに、人物試験は最終合格の判定において大きなウェイトを占めています。
2025年度から面接の重要性が高まった
国税専門官採用試験では、2025年度から試験制度が見直されました。
その大きな変更の一つが、人物試験の配点比率の引き上げです。
国税専門A・Bともに、人物試験の配点比率が従来の**22%から30%**へ引き上げられました。
2026年度の配点比率は、
- 基礎能力試験:2/10
- 専門試験(多肢選択式):3/10
- 専門試験(記述式):2/10
- 人物試験:3/10
です。
つまり人物試験だけで、最終合格を決める配点の**30%**を占めています。
さらに、人物試験でD・E評価となれば不合格です。
現在の国税専門官採用試験では、筆記試験だけでなく面接対策も重要といえるでしょう。
国税専門官が難しいと感じやすい理由
実受験者ベースの倍率は2.0倍ですが、国税専門官には倍率だけでは見えてこない難しさがあります。
専門試験の対策が必要
国税専門Aの専門試験(多肢選択式)は、58題が出題され、そのうち40題を解答します。
民法・商法、会計学、憲法・行政法、経済学など、複数の専門分野を学ぶ必要があります。
ただし、2025年度から問題の選択方式が見直されており、得意分野を生かしやすい仕組みになっています。
会計学が出題される
国税専門Aでは、会計学(簿記を含む)が専門試験で出題されます。
会計学は多肢選択式の必須問題にも含まれているため、国税専門Aを受験するのであれば避けて通ることはできません。
法律や経済を学んできた人でも、会計・簿記が初めてであれば新たに対策する必要があります。
専門記述がある
国税専門Aの専門試験(記述式)は、
- 憲法
- 民法
- 経済学
- 会計学
- 社会学
の5科目から1科目を選択して解答します。
知識を覚えるだけではなく、限られた時間の中で答案としてまとめる練習も必要です。
面接の配点が大きい
2026年度では人物試験の配点比率が30%です。
さらにD・E評価となれば不合格です。
そのため、筆記試験だけに集中するのではなく、志望動機や仕事内容の理解などを含めた面接対策も必要になります。
倍率2倍なら簡単に合格できる?
2026年度は、第1次試験受験者6,679人に対して最終合格者3,385人だったため、実受験者ベースでは約2人に1人が最終合格した計算になります。
しかし、
「2人に1人受かる=簡単」
とは限りません。
国税専門官を受験する人の中には、公務員試験に向けて専門科目を長期間勉強してきた人もいます。
また、国税専門官には筆記試験の基準点があり、専門記述や人物試験なども含めて最終合格者が決まります。
一方で、倍率だけを見れば極端に競争率が高い試験でもありません。
したがって、
「倍率が低いから簡単」と考える必要も、「超難関だから無理」と考える必要もありません。
試験制度を理解し、必要な科目を計画的に対策することが重要です。
国税専門官は独学でも合格できる?
国税専門官は、予備校や通信講座を利用しなければ受験できない試験ではありません。
市販の参考書や問題集、過去問を使って独学で合格を目指すことも可能です。
一方で、国税専門Aでは法律・経済・会計などの専門科目に加え、専門記述や人物試験まで対策する必要があります。
特に公務員試験の勉強が初めての場合は、自分で科目の優先順位や学習スケジュールを決めなければなりません。
独学で必要な勉強時間や具体的な勉強方法については、「国税専門官は独学で合格できる?勉強時間・勉強法を解説【2026年最新】」で詳しく解説しています。
独学に不安がある方や、専門記述・面接まで効率よく対策したい方は、「国税専門官の予備校・通信講座おすすめ6選!費用・特徴を徹底比較【2027年】」も参考にしてください。
国税専門官の難易度に関するよくある質問
国税専門官の2026年度の倍率は?
2026年度は、国税専門A・Bを合わせて第1次試験を6,679人が受験し、3,385人が最終合格しました。
実際の第1次試験受験者数を基準にすると倍率は2.0倍です。
申込者数9,693人を基準にすると2.9倍になります。
倍率を見るときは、どの人数を基準に計算しているのかまで確認しましょう。
国税専門官は何割取れば合格できる?
「○割取れば必ず合格」という、すべての年度に共通する公式な正答率はありません。
人事院は各試験種目の素点を平均点や標準偏差などを使って標準点に換算し、その標準点を使って合格者を決定しています。
そのため、単純な正答率だけで合否を判断することはできません。
国税専門官の2026年度の合格点は?
2026年度の第1次試験合格点は、国税専門Aが131点、国税専門Bが157点です。
最終合格点は国税専門Aが444点、国税専門Bが390点です。
ただし、これらは問題の正答数ではなく、人事院の方法で算出された標準点による合格点です。
国税専門官には足切りがある?
あります。
2026年度の筆記試験では、基礎能力試験が30点満点中9点、専門試験(多肢選択式)が40点満点中12点、専門試験(記述式)が100点満点中30点を基準点としています。
また、人物試験はC評価以上である必要があります。
国税専門官は面接で落ちる?
人物試験の結果によって不合格になることがあります。
2026年度では人物試験の配点比率が30%あり、D・E評価の場合は他の試験種目の成績にかかわらず不合格です。
そのため、筆記試験だけでなく面接対策も重要です。
動画でも国税専門官について解説しています
国税専門官の仕事内容やなる方法、年収などについては、「なるにはチャンネル」のYouTube動画でもわかりやすく解説しています。
文章だけでなく動画でも確認したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ|倍率だけで国税専門官の難易度を判断しない
2026年度の国税専門官採用試験は、第1次試験受験者6,679人に対して最終合格者3,385人で、実受験者ベースの倍率は2.0倍でした。
近年の実受験者ベースの倍率を見ると、
- 2024年度:2.5倍
- 2025年度:2.1倍
- 2026年度:2.0倍
と低下しています。
ただし、倍率が低下しているからといって、試験そのものが簡単になったと判断することはできません。
国税専門官では、基礎能力試験、専門試験(多肢選択式)、専門試験(記述式)、人物試験などを総合して最終合格者が決まります。
筆記試験には基準点があり、人物試験もC評価以上でなければ最終合格できません。
また、ネット上で見かける「ボーダー○割」という数字にも注意が必要です。
国税専門官の合否には、単純な正答数だけではなく、平均点や標準偏差などを用いて算出される標準点が使われます。
そのため、すべての年度に共通する「○割取れば必ず合格」という公式なボーダーはありません。
倍率やボーダーの数字だけに左右されず、試験制度を正しく理解したうえで、専門科目・専門記述・人物試験まで計画的に対策することが合格への第一歩です。